お付き合いも順調、
仕事も順調、
物事がすべてうまくいっているように思えました。

しかし、そういうときほど、人間というのは無理をしてしまうものなのです。

私は、少し前からお腹の痛みを感じていました。

「流行性の胃腸炎か何かかな」

あまり気に留めすにそのまま薬を飲みながら、仕事を続けていました。

しかし、胃腸炎にしては痛みも強いし、嘔吐も下痢もない。
胃が痛いわけでもない。
そして、何より一向に回復していく兆しがない。


私はあまりの腹痛に、仕事を一日だけ休み、内科を受診しました。

結果、細菌性の胃腸炎だろうということで、整腸剤と少し強めの抗生剤を処方してもらいました。

「5日間飲み切ってもよくならないようなら、また受診してくださいね。」
診察してくれた女医さんは、やさしい口調でそう言ってくれました。


彼にも、なんだか最近お腹が痛いという事だけは伝えていましたが、ちょうど関東方面への出張もなかったので、特に細かい話はしませんでした。


そして、処方されたお薬を服用し始めて5日。
痛みは良くなるどころか、悪化していました。


動くことすらままならず、這うようにして、再度内科を受診しました。

診察を受けた結果、すぐに精密検査が必要とのことで、地域で一番大きい総合病院へ、そのまま救急車で運ばれてしまいました。


一通り精密検査を受けたのち、下された診断名は「腹膜炎」でした。

もともとは虫垂炎だったようですが私の場合は診断が遅れてしまったため、虫垂を通り越して腹膜までひどい炎症を起こしていたようです。


すぐに緊急手術をして、一命はとりとめましたが、思ったよりも状況はひどく、
また長期にわたり耐えてしまっていたために体力の消耗も激しく、予断を許さない状況でした。


そんな中でも、私は彼を心配させまいと、体調の許す限り、彼に連絡を入れていました。
彼もまた、私の状況を知ると、こまめに連絡を入れてくれました。

もちろん、彼も忙しい身なのでお見舞いには来てはくれません。
しかし、私もその状況は理解しているので、彼に私のことよりも、彼自身も体に気を付けるようにと彼に対しても心配の声を掛けていました。


退院すれば、また元の日常が戻ってくる。

そう思っていました。