彼が寝付いた後、いつの間にか私もそのまま眠ってしまっていたようです。

いつの間にか時刻は10時を回っていました。

ーまだチェックアウトの時間までは余裕があるし、もう少し寝かせておこうー


私はそっとベッドを出て、荷物を取りに、自分の部屋に戻りました。
そして荷物をまとめると、また彼のいる部屋に戻りました。


ー帰りも長距離運転が待っているし、今のうちにできるだけ体力を温存しておこうー


私も横になり、のんびりとスマホを眺めていました。
何件かLINE通知が入っていた中に、奈美ちゃんと高杉からのメッセージがありました。


高杉には取り急ぎ、復縁したという事実を伝えました。
彼氏のいる前でほかの男性と連絡を取るのはいささか気が引けましたが、高杉はずっと心配してくれていた幼馴染なので、どうしても返信をしたかったのです。

すると、高杉も休日だったのか、すぐに返信をくれました。

「竹中め、しろと付き合えるなんてうらやましすぎるぞwww」

何とも高杉らしい返信でした。
優しそうな奥さんがいるのに、何言ってるんだかこの男は…と少し笑ってしまいました。



そして奈美ちゃんには、復縁の報告と、これまでたくさん世話を焼いてもらったことへのお礼を伝えました。

すると、「よかったね。」という言葉とともに、ある事実が伝えられました。

ここ1か月近く、毎日のように彼の相談に乗っていたこと、
復縁は彼が心から願っていた事ということ、
うりえるとはかなり揉めたけれど、彼自身の意志で彼から別れを告げたということ、
復縁のためだけに、たくさんの女性関係を清算したこと、

そこまでしても、本当は、当の本人は自信がなくて何度も「自分みたいな男でも、しろはまた付き合ってくれるのだろうか」と心配していたこと。


今、隣で寝ているこの人が、そこまで自分のためにしていてくれていたのかと思うと、
どこか申し訳なささえ感じてしまいました。


本来なら、自分で蒔いた種です。
はっきり言ってしまえば自業自得以外の何物でもありません。

けれど、たかが私のような世間知らずのためにそこまでしてくれていた事、私にはもったいないくらいでした。


そして、ごめんなさい一つ言えなかった男が頭を下げたこと、
自分に自信はないくせに、人一倍プライドの高いあの男が、自分からチャンと復縁の申し出をしてきたこと、

私にとっては、どれももったいなさ過ぎる出来事のように思えました。


寝顔を見ながら考えていると、不意に彼が目を覚ましました。

「今何時?」

時刻を伝えると、「まだ寝てても大丈夫だね」と、再び眠ってしまいました。
けれど眠りに落ちる直前、私の体を抱き枕のように掴んで、そのまま眠りについてしまいました。

「…安心する。」

寝言だったのかもしれません。けれど、はっきりと聞こえました。

ーこの人は、本当にこれまで不安だったんだな。多分、すごく寂しかったんだろうなー


チェックアウトの時間をギリギリまで延長し、私は彼を休ませることにしました。